不動産相続時に発生する税金の種類とは?適用できる控除も解説

不動産相続時に発生する税金の種類とは?適用できる控除も解説

不動産相続を予定している方が注意しておきたいのは、相続の内容に応じて税金が課される可能性があることです。
トラブルや滞りなく不動産相続を終えるために、課される可能性のある税金の種類や計算方法を知っておきましょう。
今回は、上記の2点とあわせて、不動産相続時に発生する税金を抑えるために使える制度を解説します。

不動産相続時に発生する税金の種類

不動産相続時に発生する税金の種類

不動産相続時に発生する可能性のある税金は「登録免許税」と「相続税」の2種類です。
相続税は多くの方に周知されていますが、相続税は不動産を相続した方全員が支払う税金ではありません。
まずは登録免許税と相続税、それぞれの種類の税金に関する概要を見てみましょう。

不動産相続時に発生する税金の種類①登録免許税

不動産の相続後は、不動産の名義を被相続人から相続人の名前に変更する「相続登記」の手続きが必要です。
相続登記は義務化されているため、不動産相続が発生した場合は、原則として必ずおこなわなければなりません。
この相続登記をおこなう場合に発生する税金の種類が登録免許税です。
登録免許税の納税方法は、金融機関を利用して現金で支払う方法が一般的ですが、オンライン申請や収入印紙を利用した納付もできます。
登録免許税の納付が完了すると領収証書が交付されるため、領収証書を相続登記の申請書に貼り付けて登記所に提出し、相続登記を完了させましょう。

不動産相続時に発生する税金の種類②相続税

相続税は、被相続人から不動産などの財産を相続した相続人に課される税金です。
相続税は相続財産の合計額が基礎控除を超過した場合にのみ発生するため、相続をおこなう方全員に課されるわけではありません。
遺産相続が発生した場合は、遺言書の内容に沿って相続人を決めますが、遺言書がない場合は、相続人が集まって「遺産相続協議」をおこない、誰がどの遺産を相続するかを決めます。
遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、それぞれの相続分に応じた相続税を納付するのが基本的な流れです。
相続税の税額は相続人自身で計算し、期限内に申告と納付を済ませる必要があるため、計算や手続きが難しいと感じた場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。
相続税の納付先は、地域を管轄する税務署の窓口を利用することが一般的ですが、銀行などの金融機関も利用できるほか、税額が30万円未満の場合はコンビニエンスストアで支払うことも可能です。
また、納税額が1,000万円未満の場合に限り、クレジットカードでも相続税を納付できます。

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不動産相続で発生する税金の計算方法

不動産相続で発生する税金の計算方法

先述したとおり、不動産相続をする場合は、登録免許税と相続税が課される可能性があります。
とくに遺産総額が巨額である場合は、相続によってどのくらいの税金の支払いが必要なのか気になる方が多いでしょう。
ここでは、登録免許税や相続税の計算方法を解説します。

登録免許税の計算方法

登録免許税の計算方法は「固定資産税評価額×0.4%」です。
固定資産税評価額は、自治体の窓口で「固定資産評価証明書」を取得すると確認できます。
固定資産税評価額は3年ごとの評価替えによって見直されており、地価が上昇すれば上がり、地価が下落すると下がることが一般的です。
なお、登録免許税を計算する場合は、固定資産税評価額の1,000円未満を切り捨て、算出された税額の100円未満も切り捨てます。

相続税の基礎控除額とは

相続税を計算するためには、計算のもとになる課税価格の計算から始めなければなりません。
課税価格とは、相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた後の金額です。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×相続人の人数」で、仮に相続人が4人いる場合は、5,400万円が基礎控除額となります。
上記のケースでは、遺産総額が5,400万円を下回る場合、相続税は発生しません。
一方、上記のケースにおいて、遺産相続が6,000万円の場合は、基礎控除額の5,400万円を差し引いた600万円が相続税の課税価格です。
なお、相続税の税率は課税価格によって以下のように異なります。

●課税価格1,000万円以下の場合:10%
●課税価格3,000万円以下の場合:15%(50万円を控除)
●課税価格5,000万円以下の場合:20%(200万円を控除)


仮に課税価格が5,000万円の場合、計算式は「5,000万円×20%-200万円」となり、税金は800万円です。

相続税評価額の計算方法

不動産を相続する場合、預貯金や有価証券とは異なり、明確に遺産総額を決めるのが困難です。
そのため、不動産の評価額を計算する場合は、相続税評価額を適用します。
相続税評価額は、相続税路線価を用いて計算することが一般的です。
相続税路線価とは、市街地における道路1平米あたりの価額で、公示価格の70%~80%程度で評価額を決め、国税庁が毎年8月に発表します。
相続税路線価を確認したい場合は、国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」を参照しましょう。

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不動産相続時にかかる税金を抑えるために使える制度と控除

不動産相続時にかかる税金を抑えるために使える制度と控除

評価額が高い不動産を相続する場合は、高額な相続税が課される可能性があります。
相続税の支払いが困難な場合は、相続した不動産の売却や相続放棄を検討しなければなりません。
しかし、不動産相続時に発生する税金を抑えられる制度があるため、利用できるかどうかを確認しておきましょう。

不動産相続で税金を抑える制度①住宅資金贈与制度

住宅資金贈与制度とは、親や祖父母といった直系尊属から住宅の購入や増改築にかかる費用を受け取った場合に、一定額まで贈与税の課税が免除される制度です。
省エネ・耐震性・バリアフリーの要件を満たした住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで贈与税が非課税になります。
厳密にいえば、不動産相続後に利用できる制度ではありませんが、不動産相続を予定している場合に住宅資金贈与制度を活用すると、将来的な相続税を抑えやすくなります。

不動産相続で税金を抑える制度②配偶者控除

配偶者控除とは、被相続人の戸籍上の配偶者が適用できる控除です。
配偶者控除を活用すると、配偶者が相続した遺産のうち、課税対象が1億6,000万円未満の場合に限り、相続税が課税されません。
また、仮に課税対象が1億6,000万円を超過していても、配偶者の法定相続分までの金額に抑えられている場合は、相続税を支払わずに済みます。
配偶者控除を活用するには、相続税の申告期限までに遺産分割を完了させ、申告書を税務署に提出する必要があるため注意しましょう。

不動産相続で税金を抑える制度③相次相続控除

相次相続控除とは、10年以内に相次相続が発生した場合に課税される相続税が軽減される制度です。
たとえば、祖父の死亡から10年以内に父が死亡した場合、同一の財産に対して短期間で二重の相続税が課税されるため、相続税の一部を控除する特例を適用できます。
前回の相続から1年につき10%の割合で控除を適用させるため、前回の相続から今回の相続までの期間が5年間の場合は、相続税額のうち50%が控除されます。

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まとめ

不動産相続時に発生する可能性のある税金は、登録免許税と相続税の2種類です。
税金の種類ごとに計算方法が異なるため、計算方法が複雑でわかりにくい場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。
相続税が発生する場合は「配偶者控除」や「相次相続控除」を適用することにより、税金を減額できる可能性があります。